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2020-04

一度でも直接話しをしてみたかった(1) - 2008.04.28 Mon




目下,まるでタイムマシンに乗って過去に戻ったが如く,ここ数ヶ月連日歌声に改めて惚れ込んでいる歌手。
偶然にも3週間ほど前,ウィーンの友人から,その歌手が現在進行性の病にあるという情報を貰った。
あれだけウィーンでも海外でも売れっ子,というよりも,カリスマ性を持って人々を魅了した人は,他にそう存在するとは思えない。

そして,かつて私の1枚目のCDリリースに於いて,病院の教授が書いて下さったライナーノートの冒頭を思い出す。(引用をお許しください)
「演奏家が聴衆に別れを告げるコンサートは,多くの人の心を惹き付けてやまないものがある。それは純粋な意味での演奏の完成度からすれば劣るかもしれない。しかし優れた演奏家が,自らの意志だけではどうにもならない肉体の衰えとの葛藤に苦しみながら続けてきた努力に,遂に終止符が打たれようとする瞬間は,人を感動させずにおかない。(以下略)」
この文章ではこの後,私自身の病気やその後の話になるので触れずにおくが,この複雑な感動を目下私もその歌手に置き換え抱いて止まない。

誰,ということは書かずにおくが(というのも,ネット検索にかかる事を恐れ),2005年に大舞台引退表明をした時の心情を思うと実に遣り切れない思いがする。と同時に年齢を,いや,年齢以上に精一杯舞台にて演じて来たのだから,残念ではあっても・・と納得しようと思う気持ちと半々だ。

当時の現地での新聞のインタヴュー記事に載っている「病にあっても微笑んでいる」との記事,終わり3分の1のみ(稚拙ながら敢えて)訳させて頂く;
本当のところはいくら彼とて,全てのことを少しでも長く維持して居たいだろう。だが反面,大立て者たる人間たちは,たとえ何の手立ても出来ずに病が進んで行く立場に置かれたとしても,「崇高である」ことに何ら変わりはない。
彼らが「そう,私はこんな立場にあります。でも働きもし遊びもします。人生は続くのです。受けた全ては享受しなくてはなりません。」と述べる限り ー彼の如くー 病気については,たとえほくそ笑んでいたとしても昼夜くよくよ悩んでいるよりは遙かに良いと言えよう。
彼は相も変わらず(wie eh und je ) 活動し,相も変わらず輝き,そして相も変わらず演じ歌っている。病との闘いに試行錯誤の毎日であろう。新たな課題,新たな勇気,しかしながら持ち前の朗らかさをもって。彼は言う,「夜な夜なワインを小さなグラスに一杯,すると,たまに症状が消えることもあるのです。」と。


その記事から3年。
一度直接お目にかかって話してみたかったもの,とつくづく思う。何度となく似た状況・症状に置かれたこともある。私の場合は決して進行性のものではなく,「注意を怠りさえしなければ」寛解状態を保っていられるのだが…。




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プロフィール

奥 千絵子

Author:奥 千絵子
★上の画像は2001年にCDにして約3枚分を収録したものを,2006年に2枚組としてリリースしたCD「樂の音に寄せて」です.『レコード芸術』2007年1月号で「特選盤」として取り上げられました.戸倉新樹教授によるライナーノートは医学生にもお薦めです.その他のCDや著書はWebsite「本館」からお入りください.このブログも「本館」のDIARYです.
★このブログの"Grüß Gott !" (文字化けの場合はGruess Gott!)は墺・南独の時間を問わない挨拶です.Website「本館」のDIARYです.出版CDや著書の詳細は「本館」のメニューからお入りください.
Website「別館」もあります. 著書「ピアノと向きあう」の説明を補うサイトです.よく頂く質問に説明を記載しています.
★上記著書については今井顕 氏によるKINOKUNIYA書評空間WEBLOG を是非ご一読くださいませ.
Auch auf Deutsch schrieb ich…
★【膠原病の記録】余りに医療のカテゴリーがが増えてしまったので目下整理中です.大変複雑な病気の経験が同じ病の方々への参考となりましたら幸いです.
「乳癌と膠原病(皮膚筋炎・多発性筋炎)」「膠原病(退院後)」 ,その他の医療の話(自分以外も含めて)は「医療・病院関係」,に取り敢えず分けました.
平成12.12.12.病院での復帰リサイタルは演奏動画入り記録です。
★恩師のことは55年間を遡り少しずつ記載するつもりです。目下のところはこれだけです.
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★このブログや大元のサイトへの感想やお問い合わせはservus2008@gmail.com宛に@を半角に直して送信願います.
【BGM】
Robert Stolzメドレー
演奏:東京カンマーコレーゲン 
室内楽アレンジ:奥 千絵子
ショパン:華麗なる大円舞曲Op.18
演奏:奥千絵子 ショパンのワルツは上の画像の2枚組CD「樂の音に寄せて」に入っております.
★Copyrights©1997-2020 Chieko Oku All rights reserved.
制作・著作:奥千絵子
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