まだウィーンを引き摺っておりますが - 2008.04.02 Wed
29日に私の留学時代最初に下宿させて頂いた家主の息子さん夫妻を訪ねたことは書きましたが,私のドイツ語の部分の日記を全て既に読まれて,楽しく読みました,とのこと(パソコンは操作が苦手,というご主人に,夫人がプリントアウトまでされて!!)。
マジョルカ島にてウィーンの4倍大きなCremeschnitteを食べたことを読まれ,ウィーンの老舗デーメルの大きなCremeschnitte も用意してくださってありました。「も」というのは,更にSacher Torteも!それも二種類!!普通のと,リキュールたっぷりのものと・・・何という粋な計らい!贅沢なおもてなし!!
Peter Minichの話も・・・
当時,下宿が本当に7時までしか音を出せなかったの?と。当時は下宿そのものの所為ではなく,上の階に大変小さなお子さんが二人住んでいて,7時就寝,ということだったらしいので,家主さんの意志ではなかったのです。結果,Peter Minichの大ファンとなり,それはその後もずっと私のピアノに影響を与えていると思うので,決して演奏は練習時間のみと比例する訳ではない・・・等・・
ギーゼキングのメトーデをどう思うか,としきりと訊かれ(楽譜を1曲全部目からのみ読み -楽器を使わず- 暗譜してから初めて音を出す,ということについて),指揮者は実際そういう準備をしているので大切なことだと思うけれど,ピアノはフィンガリングを決め,指が全てを覚えるので,最初に譜だけ頭で読んで頭に入れることは大切だと思うが,その後でタッチを決めたりフィンガリングを決めたり,結局私には何ページもの譜を先に目だけから記憶することは不可能…と意見を述べたり,又,或いは宗教の話…日本でよく訪ねてくる「エホバの証人」という新興宗教(という言葉は支障ありますでしょうか)は,ウィーンでもゾロゾロ女性達が「エホバの証人(そのまま"Zeugnis von Jehova")」を名乗って来るそうですが,どう思うか,とか,日本の宗教の信仰配分は?等,つくづく祖国を知らないことをいつも思い知らされ,その時だけは反省します。
ご主人は元製薬会社の社長のみならず,80歳を過ぎた現在でも甚だ広範囲の趣味・興味をお持ちで,いつぞやは日本の「根付」の模様の種類の本などを見せて下さり,すっかり知識を逆輸入したことがあります。
その他,当然ながら医学の話。利き手と言語中枢の話。出血などで傷ついた脳が,トレーニングで反対側にゆっくりとシナプスを伸ばし始めて言語中枢を作りだすこと。
しかも「人類は死ぬまでに20%しか脳を使わない。残念なことだ。全部使えたらどんなにか嬉しいのに…」って,おじさま!おじさまはどれだけ大きな脳をお持ちで!?と言いたくなるほどです。 その他昔話は山ほど,午後の4時間はまるで何日にも及ぶ様な内容となりました。楽しかった!!今回は娘も,2ヶ月のドイツ語講座(週1時間半×3回の授業ですが,家での自習や,ドイツ語のテレビゲームをするなど)の成果は大きく,話を聴き取るには何の不自由も無かった様です。
と,話が又ウィーンに飛んでしまいましたが,頭の回路が段々繋がり,我が家に確かPeter Minichの演ずる「メリーウィドウ」のVHSヴィデオがあった様な・・・と思い出してきました。
帰国してどうしても気になり探し出しました。
私は,妹から貰ったか借りたかしていた様な気がしていたのですが,記憶違いで,テープに書かれた文字の筆跡も全く判別の付かない方です。
1982年6月にVolksoperが来日した時に,NHKで放映されたものを録画し,それを1998年に更にコピーしたもの,と注釈があります。
1998年の私は,後に多発性筋炎と分かった症状が出始めた年。乳癌が見つかり手術をした年。1999年には更に皮膚筋炎を発症して長い長い入院生活を送った年。おそらくそういう事に関連してお見舞いかたがた下さったかお貸し下さったか……現実,再生する気力も体力も無く,忘れた存在になっていたのです(これを読まれ,「私が貸した」ことを思い出して下さる方がいらっしゃいましたら,お知らせくださいますでしょうか?)。
放映の1982年6月は,私は娘がお腹に居て,切迫流産を繰り返していた頃。Volksoperが1980年代には随分来日公演し,ペーター・ミニッヒも当然来日! 「ミスター・フォルクスオーパー」と呼ばれるほど大活躍されていた時期だったのですが,私は残念なことに二人の子供を追いかけている現実,仕事も最低限ながら,睡眠時間を削ってフラフラで,フォルクスオーパーどころか,あちこちに不義理を続けるばかりで過ぎていた頃です。とても趣味の世界も無く,子供を寝かしつけ,自分もぐっすり眠ってしまっていたのを「起きねば,起きねば」と何とか起きて練習していたのは30代だったから出来たこと。
子供達を自転車の前後に乗せ,幼稚園の送り迎えや,子供たちのお友達の家の送り迎え(生徒に10分間の課題を与えて,その間に自転車を走らせて迎えに行く,等),今となれば懐かしくもあり,子供達のお蔭で鍛えられたとも思い,それでも過ぎてみれば,せめてVolksoper来日を観に行く時間を無理して取る事は出来なかったのだろうか??と悔やまれます。おそらく私は,「ウィーンでの生活を思い出す」ことすら避け,ひたすら現在のみに集中しようとしていたのではないか?と回想します。
・・・・・で,又話が逸れましたが,見つけたVHSを早速再生しました。確かに音も画像も劣化はしていましたが,ミニッヒの歌と演技は充分に堪能出来,甘い歌声,様々な表現力に改めて心惹かれ,何度も戻っては再生!!
又他の役者さんたちの何とも言えない味も含め,既に「かつての佳き時代のVolksoper」になってしまったのだろうか?と思ったり…。
勿論現在も大変素晴らしいのです!!でも,どこかが……
どうしてその様な素晴らしい演技が出来るのか,という質問に対し,かつてミニッヒ自身の答えを何かで読んだことを思い出しました。「観客の為に自分を完全に開くこと。役をオーソドックスに解釈しながら自分なりに解釈し工夫出来る部分も当然ある。そこに自分の全部の性格や個性,そしてカリスマを注ぎ込み,それを観客に全て開けっぴろげにする,すると観客も自分の現実から解放され,自分たちの前にいつの間にか現実には見えにくい世界が開かれて,舞台を観ながら夢を見,遊ぶことが出来る。それがオペレッタの醍醐味」といった内容。でもこれはオペレッタだけではなく,ピアノ演奏でも同じ・・・と痛いところを突かれている気が常に・・・つまりは個性のみならずあらゆる性格,了見を広げねばならないこと,カリスマ性も持たねばならないこと・・・
とは思うものの,ミニッヒのステージは,もう全面的に「素晴らしい」「素敵!」・・・・ひたすら夢に誘われているだけになってしまったのですが‥‥
支離滅裂な,ただ長い文章になってしまいました。
まとまらないまま,ここで送信。
旅行(引っ越し?)荷物の片付けをしなくては・・・
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