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2020-03

教師の役割 - 2011.11.30 Wed

特に発表会を前に思うこと。
今回に限ったことではないですし、生徒の年齢層や経験度にもよりましょう。

教師(十人十色とは思うので、私の場合です)の日常は、生徒の出す音を1音たりとも聴き逃さないことに始まります。
勿論譜読みの時期の読み間違えに始まり、仕上がってくれば、例えばメトロノーム160であれ180であれ、どんな音もバランスも輪郭も聴き逃しません。しかもDoppelgriffの速いパッセージでのバランスやニュアンスすら聴き取り、指摘します。
音色に乏しい場合は、原因を探すために、生徒の左、右、後ろ、と目まぐるしく動き、姿勢から肩~指先の観察をします。隣接したピアノで弾いて模索し、提案します。
未熟な生徒の場合には、勿論真似から入りますから見本も示します。いえ、未熟ではなくとも、自分で聴き取れていない場合には、教師が何度も弾いて違いを聴き取ってもらいます。

本にも書いた18種類のタッチのどれを使うか(複数が殆ど)、心がどのような表現を希望するか、具体的な表象を設け、タッチを選ぶべく促します。大人の場合には人生経験が豊富ですから、細かい表象はこちらからは訊きませんが、自分の環境に無いであろう事の場合には、色々なヒントを述べます。

そうして、1音たりとも無意味な音が無いように練習が出来る方向へ導きます。
弾きながら全部の音を聴き取りコントロール出来る速さ、というのが、執拗ながら「速くて(!)3倍遅いテンポ」なのです。
徐々にテンポアップし、緩急も付け、頭の半分は音楽、残り半分は具体的な動作へ。

可成り早い時期から録音をしながらの練習を促します。


これらを実践している人達は、今回のリストの作品が、実に心に訴える演奏となっているのです。
リストと言っても、さまざまなキャラクターがある訳で、それは彼の人生の波によるものです。


これらの作業とも言える練習の手伝いを、私は1音残らず聴き取ってアドヴァイスをするので、本番が近付きヴォルテージの上がった練習の手助けは、本来なら本人が一番聴き取るべきことまで私が一番聴き取り…ですから本来、この時期のレッスンというものは2時間で休息を取るべきだと思うのですが、取っておいた休憩時間まで長引き、次の人が来れば、5-6時間ぶっ通し、ということにもなり、終わってからは寝るのみ・・・

今までお教えした三桁の人数の三分の二以上が(殆どが、が正しいかもしれない)、事柄によってはマイナス方向に進んでおり、そのマイナスがどの程度のマイナス地点かにもより…ゼロ地点に到達するまでが大変なケースも多々あります。根気との勝負です。特に何十年もかけて、悪い習慣が付いてしまっている方々は、ご本人が大変なことは言うまでもありません。(小声で、…音大の先生方、ちゃんとお教えになってください!…と言いたいこと屡々です)


さて、そんなこんな。
今回は小学2年生を除くと、他は大人ばかりで、半数以上が半世紀以上を生きた方々。
言い尽くせない喜怒哀楽の人生です。
熱心にレッスンでの提案に耳を傾け、自宅でも録音で確認し、鏡を見ながらタッチの工夫をし、音を聴いての練習をされた方達のめざましい進歩!!それはもう、逆に私が癒される音楽です。1音1音が意味を持って訴えてくれるからです。
本番となりますと「あがる」という魔物あり、リハーサルを重ねる事は、子供の場合とは違って必須。
勿論本人たちが自宅でも「一発勝負」と「細かい練習」を繰り返す訳ですが。

教えるべきことは全部教えてきており、あとはご本人次第・・の時期。
集中を考えて、譜読み当時からの全部の事柄を取り入れて模索・試行錯誤で本番当日を迎えて欲しいものです。
まだレッスンに頼ろうとする態度の方も居ります。突き放す勇気も教師には必要、と最近思います。ましてピアノ教師をしている方であれば尚更。
お小さい方は仕方ありません。短期間にどんどん曲を仕上げていく時期が必要です。コンクールとなれば別でしょうが、1つの曲を余りに長く練習することは…勿論、そういう時期を作ることも甚だ重要ですが…それは教師が「今はどの時期」と考えます。

ともあれ、5-6時間、1音たりとも聞き逃さぬよう、1本の指の動きたりとも見逃さぬようにレッスンを続ければ、当然ながら私にはストレスが残り、翌日は起きられないことも。自分の練習とは訳が違います。- と書いて、最近自分の練習は1時間半が集中の限度であることを実感…これは年齢の所為か、はたまた、幼い頃一日の練習量が1時間半マックスだった「三つ子の魂」の所為か - レッスンによる疲れの所為か - (多分全部が複合)


私も「あぁ、リストが弾きたいなぁ…」と思いつつ、あの自転車事故もどき(事故と言い切って構わないかもしれない)で、フォルテでの左オクターヴが届かず。
それでもレッスンでは夢中になると「痛み」を忘れて弾きまくってしまう悪い癖・・・

事務的諸事もまだまだ残り・・・
今もそのためにパソコンを開いたというのに。


長くなりました。
取り敢えず送信(投稿?)。



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プロフィール

奥 千絵子

Author:奥 千絵子
★上の画像は2001年にCDにして約3枚分を収録したものを,2006年に2枚組としてリリースしたCD「樂の音に寄せて」です.『レコード芸術』2007年1月号で「特選盤」として取り上げられました.戸倉新樹教授によるライナーノートは医学生にもお薦めです.その他のCDや著書はWebsite「本館」からお入りください.このブログも「本館」のDIARYです.
★このブログの"Grüß Gott !" (文字化けの場合はGruess Gott!)は墺・南独の時間を問わない挨拶です.Website「本館」のDIARYです.出版CDや著書の詳細は「本館」のメニューからお入りください.
Website「別館」もあります. 著書「ピアノと向きあう」の説明を補うサイトです.よく頂く質問に説明を記載しています.
★上記著書については今井顕 氏によるKINOKUNIYA書評空間WEBLOG を是非ご一読くださいませ.
Auch auf Deutsch schrieb ich…
★【膠原病の記録】余りに医療のカテゴリーがが増えてしまったので目下整理中です.大変複雑な病気の経験が同じ病の方々への参考となりましたら幸いです.
「乳癌と膠原病(皮膚筋炎・多発性筋炎)」「膠原病(退院後)」 ,その他の医療の話(自分以外も含めて)は「医療・病院関係」,に取り敢えず分けました.
平成12.12.12.病院での復帰リサイタルは演奏動画入り記録です。
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演奏:東京カンマーコレーゲン 
室内楽アレンジ:奥 千絵子
ショパン:華麗なる大円舞曲Op.18
演奏:奥千絵子 ショパンのワルツは上の画像の2枚組CD「樂の音に寄せて」に入っております.
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制作・著作:奥千絵子
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