文章から学ぶ難しさ(1) - 2011.09.09 Fri
もっと此処に詳しく頻繁に書きたいのですが、本から解放されて以来、文章表現に拒否反応を起こしている感あり。
凝縮に凝縮して350ページほどの本になった文章は、それ以前にはおそらく1000ページ分、もしくはそれ以上を書いたと思います。
そもそも、実際のレッスンでは何時間もかけ、それもピアノを使って示しては試行して頂くことを繰り返し、月単位、年単位で体得して頂いている奏法。それらを1ー2ページ、場合によってはほんの数行に纏めている訳ですから、沢山の質問を頂いて当然です。
逆に、質問を頂くことで、共通する「不明点」が明らかになり、とても有難いことです。
今後とも大いに質問をお寄せくださいませ。
今後は気付いた度に(断言は出来ないのですが)記して行こうと思います。
*今日の第1点目:タッチの種類について、主に【A】
本に於いては、常時練習して頂きたい基礎として便宜上【A】と【B】を最初に挙げました。
けれども、これらはピアノをある程度弾けるようになってからの練習です。
全く初心者の場合や、凄まじく悪い癖が付いて長年弾いて来られた方々には、まずは正しい手の形(第31ページから第35ページに記しました)を体得して頂くことが先です。方法は、可成り詳しく書いたつもりです。
【A】や【B】の前に、本で言うなら【C】を先に実践して頂くことが殆どです。つまり鍵盤を沈めても指のあらゆる関節が陥没したりぐらついたりしないこと。陥没しないように、と気を付けると第1関節が中に丸まり過ぎてしまうこともあります。その様な時には、【C】の様な構えではなく、「だらりと下げた手をそのまま鍵盤に乗せ、第2指と第5指の付け根の高さが同じになる」構えにて鍵盤を下げ、どの指関節も陥没したりぐらついたりしないことをメインに頭に置いて、指1本ずつを何度も下げる。次に隣接する2本を交互に。
そこで余りに潰れてしまうケースでは、【A】の感触を加えます。ただこれもある程度の経験がある場合であり、全くの初心者の場合には「力む」癖を付けてしまうので、私はお勧めしません。
成長期のお子さんであるなら数週間で矯正出来てしまうこともありますし、それ以降の年齢の方々、50代以上であっても、マイナス方向に行きさえしなければ、数週間乃至数ヶ月後には「いつの間にか治っている」ということが殆どです。50代になって「初めてピアノに触れる」という方々は、もう少しかかるのですが、必ず出来るようになるものです。
その後で【A】を開始します。
ここでよくある誤解に対して念押します。本の第42~43ページにも記載した筈なのですが、読み飛ばしてしまえば目に入らなかったり、考えずに過ぎてしまうこともありますから。
「指が鍵盤に食い込むがごとく力強く」と書きましたが、ずっと食い込んでいる訳ではありません。
③に書きましたように、音が出た後は寧ろ「弛緩」を心掛けて鍵盤を下げているだけです。
「力強く」といっても、②に書きましたように、ffが出る筈はありません。最初はppでしょうし、fが出たら逆に力んでいる証拠でしょう。既にピアノを弾き込んだ方ならmf位は出るかもしれません。
又、①に書きましたように、鍵盤上を滑らせる訳ではありません。鍵盤の1点で「クイッと」曲げることで音を出すだけです。極端なケースになりますと、音が出てから鍵盤上を指が擦っていることもあるますが、そうではありません。
第2関節についても、①の通り、「出来るだけ」曲げないのであって、「全く」曲げない、ということは初めての場合にはあり得ません。「全く曲げない」と思いすぎると今度は第2関節が「陥没」してしまいます。
*今日の第2点目:「個性」について
サブタイトルにもなっております「芸術的個性」ですが…
奏者の「個性」ばかりが偏重されては困ります。それ以前に、モーツァルトはモーツァルトの個性(という表現がご理解頂けるかどうか…)があり、ハイドンとは又ひと味違います。
ベートーヴェンにはベートーヴェンらしさが。それも楽器の変遷や彼の人生と共に変わって行く姿は追うべきだと思います。
同じロマン派で、同じ年に生まれたシューマンとショパンであっても、全く異なるインタープリテーションになるべきと思います。
同じロマン派の長大なソナタでも、シューベルトとショパンでは、やはり曲調は違います。
バッハが、演奏者の個性だけになり、あたかもロマン派的表現たっぷりになることも避けるべきです。
*今日の第3点目:レッスンの録音について(第330~331ページの「Q 40」)
「大いに録音をすべきです。教師も許可すべきだと思います。」と記した通りです。
けれども、教師によっては反対意見もありましょう。
「しかし、習う側が無限に録音や真似だけに頼ることは避けたいものです。」と私も記しました。
単発でいらして、(本を鵜呑みに)何の許可を得るでなく、録音機(古い単語ですが、今は実に色々な機器があり…ひっくるめて…)をボン、とそこらに置く・・・
きっと他の先生方のところでも、そのようになさっている方がおられる事と思います。
初めて習われる場合には、どの先生のところにいらしても、やはり「宜しいでしょうか」のひと言が礼儀というものです。
又、同じ教師が教える折にも、「真似」が好ましくない時と場合もあります。生徒自身の考えを自分の中から引き出して欲しい時期があるからです。
また、録音に頼り切って楽譜にメモすら取らないケースの多さ!
弊害の多さを感じる昨今です。
あくまでも、幼いお子さんが一人で通う場合のアドヴァイスとして、又、教師は自分も練習を怠らずに、生徒の進歩を自分のバロメータとすべき、ということを意図したかったAnswerであることを頭の隅にお置きくだされば幸いです。
と、今日はこの位に留めますが、全て本のどこかに書いてあることを再度(言葉遣いを換えて)述べただけの気が致します。
又折に触れて述べさせて頂きます。
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