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2020-04

勝負に出る時 - 2010.02.19 Fri

オリンピックを見ながら、遙か昔の自分を思い出してしまう。
1970年代の中、約3年間のことだけれども。

日本に居た頃は何の取り柄もなく、手は小さく(9度も使えない)恩師からも国内のコンクールを受ける候補にすら挙げられずにいた私が、留学してからどの師にも国際コンクールを勧められ、チャレンジしたことを思い出すのだ。

自分でも弾きたいと思っていた曲でもあったが、手の小さい私は「自分の武器」を作らねば欧米の大きな手を持ったピアニストには太刀打ち出来ないことは火を見るよりも明らかで・・・
必ず認められ、というよりも注目されるきっかけの曲は、いくつかのエチュードだった。
例えばショパンのOp.25/6、所謂「三度のエチュード」。メトロノーム記号では二分音符が69という速さが書かれてある。つまり四分音符に換算すれば138の訳だが。この速さでも難しいと感じる人も多い中、無謀にも四分音符で168に挑んだ。右手だけこの速さで楽に弾け、しかも左手で音楽を(会話の様に)豊かに表現すること。右は靄の中から現れる様なイメージ。
リストの超絶技巧練習曲の「鬼火」も同じ様なテンポで、そして不気味な雰囲気を醸し出したい、と。
全て自力で工夫した。
それ以前にはチェルニー60番などから重音のエチュードを、これで単なる指の瞬発力や指先の素早い動きを鏡を見ながら工夫した。

この2曲だけでも国際コンクールで目に留めて頂ける存在になれた。他にも数曲「この曲なら」というレパートリーもあった。
ミュンヘンの打ち上げでは審査員達からそれらのエチュードに関して質問攻めとなったこともあったっけ・・・遙か昔の1977年の話だ。


・・・と書くと傲慢は重々承知ながら・・・ただ、常に自力で試行錯誤を繰り返していた事は、今振り返れば書いて構わなかろうと思う。


目下フィギュアでの4回転ジャンプなどが騒がれているけれど、勝負を決めるのであれば日頃は150%確実に決めねばならない筈だ。
という事は練習時には5回転ジャンプが100%出来ていなければ駄目なのではないか?と思う。その他の競技も然り。

さりとてフィギュアは回転出来れば良い、というものではなく、音楽との一致が欲しい。

度々執拗ながら、大のプルシェンコファンとしては今回のショートでの彼の演技はがっかりした。
「アランフェス協奏曲」であんなにグルグル回ったり勢いある表現をしたり、流れている音楽とは無関係な表現・・・
一旦壊した脚をカバーし、温存しているだけなのだろうか?

いくらオリンピックと言えどもフィギュアは音を伴った芸術だと思う。
芸術とは「大変さ」を見せてはいけない。




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● COMMENT ●

Re: 感動!!!

hexeさま

コメント有難うございますv-10
本当に何かを身に付けようとしたら、日頃なら150%、或いは居眠りしていても…外国語であれば寝言の発音までもがネイティヴの方に通じる位にならないと駄目かも分かりませんねぇe-263

オリンピックを見ていると考えさせられること連続です。

私も上記の通り練習では一発で168で音楽的に弾けても、本番では144~152を中心にテンポを揺らしてゆとりとなりました。尤も音楽の場合は脈拍数や血圧とも比例する様ですから(ドキドキすると演奏もテンポアップ)、それも計算に入れたら可成り速いテンポで日常弾けていなければならないことになりますねv-355v-355v-355

感動!!!

>日頃は150%確実に決めねばならない筈だ。

これは本当にそのとおりですねえ。ピアノの世界だけではなく、「練習」ということの本質を表していると思います。外国語の発音練習にも共通していると思います。普段使わない筋肉を使い、普段とは違う口の開け方をしなければならないわけですから、練習のときは150パーセント、いや、200パーセントやるつもりでなければ、上達しないのと同じですね。そして、人まねではなく、その外国語における「自分自身の声」をみつけていかなければならないわけです。いくら難しい単語をたくさん覚えてもダメな部分があります。

おっしゃることに手が痛くなるほど拍手したいです。何事をやるにせよ、この姿勢で臨みたいですね。


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プロフィール

奥 千絵子

Author:奥 千絵子
★上の画像は2001年にCDにして約3枚分を収録したものを,2006年に2枚組としてリリースしたCD「樂の音に寄せて」です.『レコード芸術』2007年1月号で「特選盤」として取り上げられました.戸倉新樹教授によるライナーノートは医学生にもお薦めです.その他のCDや著書はWebsite「本館」からお入りください.このブログも「本館」のDIARYです.
★このブログの"Grüß Gott !" (文字化けの場合はGruess Gott!)は墺・南独の時間を問わない挨拶です.Website「本館」のDIARYです.出版CDや著書の詳細は「本館」のメニューからお入りください.
Website「別館」もあります. 著書「ピアノと向きあう」の説明を補うサイトです.よく頂く質問に説明を記載しています.
★上記著書については今井顕 氏によるKINOKUNIYA書評空間WEBLOG を是非ご一読くださいませ.
Auch auf Deutsch schrieb ich…
★【膠原病の記録】余りに医療のカテゴリーがが増えてしまったので目下整理中です.大変複雑な病気の経験が同じ病の方々への参考となりましたら幸いです.
「乳癌と膠原病(皮膚筋炎・多発性筋炎)」「膠原病(退院後)」 ,その他の医療の話(自分以外も含めて)は「医療・病院関係」,に取り敢えず分けました.
平成12.12.12.病院での復帰リサイタルは演奏動画入り記録です。
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