6歳児から逆に課題を与えられた - 2020.08.25 Tue
特に差し当たっての目標は定めずにピアノを続けているが、和声に関して耳の鋭い6歳の生徒。
たまにはバイエルをさせようではないの!
順不同で、「ワルツの伴奏」を扱っているものを飛び飛びに纏めて練習させたり、アルベルティの伴奏型のものをピックアップして纏めたり、それでも残すところ、飛ばした曲と共にあと数曲で止まっている。
ワルツの伴奏としては100番を終えたので、99番に戻ったというか進んだというか・・・
レッスンでは、次の課題を一応軽く弾かせておく常。
99番の課題はB-Durの音階ですが、それよりも左右6度での並進行を味わわせたい。
その前、冒頭の小節にかかっているスラーで6歳児よりクレームが

第1小節目から第2小節目までまたがってかかっているスラー。どうしても第1小節目の終わりで切ってブレスをしたいと言う。第2小節にまたがってかかっているからなぁ。。。今までそういう質問をされたことは無いし、私も何も疑うことなく起伏でアーティキュレーションを表現して弾いて来た。
↓音楽之友社版の『こどものバイエル下巻』。


ついでに他社の『こどものバイエル』も調べてみた。

スラーは3社共に第2小節目までまたがっている。
ついでに(我が家では母の代から「おとなのバイエル」と称していた)一冊に全曲が小さな音符で収められている、日本の版も調べた。


その問題の部分は、やはり全て同様↓

はた!!と思った。
海外の版はどうなっているのだろう?原典版は無いのだろうか?
唯一我が家にあるこれ↓

ウィーンに居た頃、商社その他のお子さん方にピアノを教え、自分用にDoblingerで購入したと思う。
99番を開いてみたところ、何と!問題の箇所にはスラーがありません!!

最初の3音及び前打音の頭は同じBですから指で完全に繋げることは不可能だし、繋げる必要もない。
大人の演奏として弾いてみれば、強拍と弱拍を意識し、当然1拍目を深く、その後の8分音符は少し軽めに弾き、3拍目の前打音から上り坂でアクセントまで付いた音が頂点になる(前打音は前に出さないが、弱く始めてDが頂点)。その後は自然にD>B(>は松葉マークのdim.)、そうなれば当然その後はブレスをしたくなる。テンポはAdagioでもある。第2小節目の頭は導音として少し遠慮がちに弾いてから膨らませる為にもブレスは必須。その上で2小節で1つ、或いは4小節で1つのフレーズと感じる。
音符は余りに小さいのですが、以下のような譜割になっています(譜割だけは、日本の「おとなのバイエル」も)。

それにしても、ここ迄感じ、考えている6歳の子供。
私達がショパンやシューマンのフレーズを考えると同等のレベルでバイエルから音楽を読み取っているのでしょう。
「たかがバイエルされどバイエル」と、可成り詳しく音楽最優先で何十年もバイエルを教えているつもりだった私。これでも甘かったか!!と気付かされ、反省したひとときでした。
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