バイエル賛否両論 - 2009.05.30 Sat
又か…と思う。
どんな教材も使い方次第、つまり教え方次第では有害にもなり得るし、大きな進歩の手段ともなり得る。
ピアノを使っての表現力のみならず、西洋音楽の骨組みとも言える和声法を自然に身に付けることも出来るバイエル。つまり「トニカ」「ドミナント」「サブドミナント」の役割やハーモニーの変化、更に和声進行の禁止事項なども、バイエルを弾いているうちに自然と耳と手から入ることが出来る。
伴奏形なども、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン等古典派に直結しており、貴重な教材だ。
ただ、使い方次第である。これは又詳しく書く機会があるので短く留めるが、バイエルを弾く以前に欠かしてはならないことがいくつかある。
まず手指の形を整えることは必須だ。腕の重さをかけて指関節がふらつく様では、限界が来て先に進めなくなる。つまり楽譜に目が集中している間、手指の形は見えていない訳だから、この基礎はバレエのバーレッスンの如く、バイエルを始める前に習慣付けるべきだし、更に教材が進んでも、常に同時進行すべきだ。
それとバイエルの最初のフィンガリングで、ドレミファソが右手なら即ち12345と直結しがちなので、ランダムに音と指番号を書いて、鍵盤をその指で弾かせることなども必要だろう。
又、最近ではテレビからであれ街の中であれ、様々な種類の響きを耳にしているので、子供であっても、いや子供こそ音感が付き易い。そういう時期に古典派の基礎だけでは勿体ない。教師は進んで、上巻のうちから♭、♯など臨時記号を教えてよいし、教えるべきだ。上巻だけで1年もかけていては退屈になってしまう。その子供に応じて補助的な譜面を書いて与えることを惜しんではならないと思う。
今では楽譜店に行けば、沢山の曲集を売っているが、あれこれ買って沢山の曲を楽しむのであれば構わないが、一冊のうち一体何曲弾くだろう?所謂「名曲」に辿り着くまでは教師が書いてやれば済むことだ。
並行してバイエルの不足を補って行けば、上巻そのものは子供であれば3-4ヶ月乃至半年で終わるであろう。
下巻になれば、メロディーと伴奏のバランス、バスの流れ、美しいメロディーの表情など、教師が弾いて示してやれば子供はいくらでも反応する。下巻も特に後半ともなれば、重力奏法(手や腕の重さで鍵盤を下げる)でそれらが可能になる筈だ。
そうすれば、遡ってバロック時代のポリフォニーの各旋律の表情ある弾き分けも可能になるし、古典派への最短距離ともなり、そして時代順に進んで行くことが可能となる。日本人の苦手とする3拍子も、バイエルにはワルツのリズムの左手が沢山出て来る。ここで左手だけ良い練習をして身体で感じられるまでになってしまえば、その先こんな楽しいことはない。
ひたすら同じ強さの音を並べて弾くことだけは、初歩と言えども避けるべきだ。その様に練習してしまうので弊害ばかりが問題となるのだと思う。
たとえバイエルの易しい旋律であっても、心と一体化させて弾くには、「これでよい」ということはない。
どんな教材でもこれで完璧、というものは無く、教師の試行錯誤が必要であるし、生徒側も上達を望むのであれば、幼いうちは毎週レッスンに通うことが望ましく、家での練習に於いてはマイナス方向に進むことのない様、親御さんの適度なフォローは必要だと思う。
これは30年間、初心者の指導は勿論、マイナス方向に進んでしまった方々の矯正を、年齢や立場に関わりなく携わってきた者としての呟きです。
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その4 - 2009.05.23 Sat
今日は亡き母の誕生日。(生きていたなら85歳)
この連弾のテープを母に渡そう、と思いつつ二桁年が過ぎ…

(生まれて初めて左右を -つまりprimoとsecondoを交代した試演。お互いに弾きにくかった記憶が…

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放映の宣伝 - 2009.05.22 Fri
再放送もあるそうです:5月27日(水)13時20分‐13時50分 福祉ネットワーク
http://www.nhk.or.jp/heart-net/fnet/info/0905/90520.html
お見逃しの方は来週の再放送を是非ご覧下さいませ。
以前の放映は(私の知る限りですが)、パッチアダムスに共感を覚えての活動、ということに焦点が絞られ、「かぶりもの」「クラウン」「看護婦の衣裳」にての場面が多かった気がしたのですが、今回は誰にもやって来る高齢という状況への岡原先生の真摯な、しかもユーモアを交えた姿勢が中心に放映されていました。 (かぶりものは一度も映りませんでした)
今の東京は若者に溢れかえっていますが、バブル時代に育った子供たちが「三つ子の魂百までも」ですし、我々戦後の世代は・・・どうなのでしょう、いつも老後に不安を感じています。
同時に、向かいに住んでいたとは言え、母が多忙の私に気兼ねをし、いつも一人で通院し、そのまま病院の前で倒れて一人で逝かせてしまったことを思い出し、改めて悔いが残ります。
岡原先生の様な医師が都会でもどんどん育つことを願うばかりです。
_________________________
ここに追記すべきことではないのですが、現代の医者は「マニュアル」が無いと診られないケースが多い・・・
その患者ひとりずつに本来、敢えて言うなら「その人へのマニュアル」がある筈なのです。
例えば私の体温、1999年に大量のステロイド治療を受けてから、平熱が35℃台になっています。それも前半。34℃台に落ちる時もあればERRと出る時も。
なので、風邪気味で36℃あったらちょっと苦しい…。
昨日も、何だかこれから熱が上がる様な身体の違和感を感じて計ったところ、オムロンのデジタルでは35.3℃。水銀柱は微動だにせず。
今朝も倦怠感にて計ってみました。
オムロンでは36.8℃。水銀柱は36.6℃。
これをどう捉えますかね?いつもより1.5℃位上がっている訳です。平熱が36.8℃の人であったなら38.3℃に該当する訳ですね?
多分そこらの病院やら医者やらに行っても相手にされずに無駄足になる。(この10年間、イヤほど経験しましたので~

家でおとなしくしているに限りますな・・・

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その3 - 2009.05.16 Sat
プロフィールの「BGMその3」をモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲に致しました。
「その1」の時に書きました様に、特に練習をするでなし、「お遊び」の延長にあり、録音もカセットテープによる大昔のものです。細かいあれこれは聞き流して下さいます様、お願い致します。
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署名のお願い - 2009.05.13 Wed
世界レベルの不況は此処にまで影響を及ぼしつつあるのか…と、ただただ驚いているところです。
オンラインで署名を集めています。
お一人でも多くの方にご協力を頂きたく存じます。
http://www.onlinepetition.at/index.php
署名欄はメニューバーからPetition unterzeichnenです。
下にスクロールしますと英語でも説明が記されています。
ウィーンの他のオケ同様、素晴らしい演奏をするオーケストラです。
特筆すべきは、現在CDとして存在する現代曲は、殆ど当時のこのオケにより世界に広がった事です。
なお;
「Wohnort / Place of residence*」は都市名や都道府県名だけで大丈夫です。
「Statement / Statement」は空欄のままでも構いません。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
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RSO-Auflösung? Nein danke! - 2009.05.13 Wed
Das Radiosymphonieorchester Wien steht vor der Auflösung!
Dieses Orchester hat sich in den letzten 2 Jahrzehnten an die Spitze der Orchester in Wien emporgearbeitet.
Es genießt heute Weltgeltung wegen der künstlerischen Qualität seiner Aufführungen, wegen seiner Vielfältigkeit und wegen seiner unübertroffenen Fähigkeiten im Bereich der modernen Musik. Hier wird mit einem Federstrich ein kultureller Wert zunichte gemacht der nur in jahrzehntelanger Aufbauarbeit entstehen kann. Zunichte gemacht, weil Dilletanten in der Führung des ORF nicht rechnen konnten und zusätzlich hohe Millionenbeträge verspekuliert haben. Bitte machen Sie mit bei dieser Verzweiflungsaktion.
Onlinepetition unter www.onlinepetition.at.
"Petition unterzeichnen"
Im Voraus bedanke ich mich bei Ihnen für Ihre Mühe.
Mit freundlichen Grüßen
Chieko Oku
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腹の立つ治療 - 2009.05.10 Sun
ところがその整骨院も、院長の治療は素晴らしいのだが、その後にマッサージをしてくれるのは大勢居る若い治療師。
これが誰に当たるか、時々問題があり・・・
一昨日金曜のこと、私は娘のギックリ腰に付き合って整骨院に行った。
彼女の重い通学鞄(3年前に大学は出たのだが、又新たなる勉強に通い、その教科書の量たるや…)を肩から下げ、とてもじゃぁないが通学どころではなかろう、と。
先に診察券を入れて、最寄り駅まで迎えに行き、その鞄の重さに今度は我が身を案じて私も治療を受けることにした。このところ、原因不明の全身の筋肉痛でステロイドの服用量を増やしており(医師の許可の元)、付き添ったものの鞄を持ってやれるかどうか…も考慮してのこと。雨も降ってきていたし。
ところが、私の治療に当たったのが・・・不運・・・
去年暮れに院長先生が仰ったのは、親指の不調(瓶の蓋を開けることで起きた、母指CM関節症)は親指そのものが悪いのではなく、スジの流れが悪くなっている為に起きていること、と親指は直接治療せず、全身の流れを良くすれば結果治る、というものだった。その言葉通りで、大晦日には硬い根菜を切っておせちも作る事が出来るまでに回復したほどだった。
金曜の治療は・・・
結局最後に親指を伸ばしたり縮めたりの反復。これって院長の方針と違うではないか!と思いつつ、隣りのベッドに居るこの日の主役である娘への院長のアドヴァイスや会話が気になり、自分のことは放置。甚だ迂闊であった。
普段の私であったなら、「親指は触らないで!仕事道具!!」と訴えていたであろうに。
結局、折角完治していたものを呼び戻してしまった・・・
これも過保護の為せる業、と反省を促されたのかも分からない。
あぁ、それにしても憂鬱だ。
明日は整骨院休診。
このところあれこれとプライベートな事も立て込み続け、思考力ゼロ。
せめて(取り敢えずは)生徒達の指導に支障が無いことを願うのみ。
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その2 - 2009.05.08 Fri
5月のBGM(プロフィール内)を、モーツァルトの2台の為のソナタから、ブラームスのハンガリー舞曲に変更致しました。
粗が目立つ前にさっさと変更します。あ、もう既にイヤほど目立っていたら申し訳ありません

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5月のBGM - 2009.05.01 Fri
今月は、これ又更に古いカセットを引っ張り出して、妹との共演をアップします。
妹も私も「今だったならこうは弾かないであろう」と思う事の多い演奏ですが、仕事や雑事の合間の楽しみ。練習も合わせも殆どせずに、幼い頃から二人で遊んで弾いていた延長の演奏です。
今では全く別な生活となり、合わせる機会も全くなくなってしまったのが残念です。
5月は、二人を育ててくれた亡き母の誕生月でもあり、「母の日」もある月。
ブログで流して天国にもインターネットが届くことを願い…

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