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2000-12

12.12.12.(3) - 2000.12.12 Tue

一足飛びに先に演奏会当日を載せてしまったが・・・

春から病院のレストランで待ち時間をいつも過ごさせて頂き,練習も全くせずにリクエストに応じてピアノを弾く様になっていた。
それは,前年には「もう一生今までの様に弾けないことを覚悟してください」と医師たちより告げられた私には奇跡とも言いたい事柄だった。
おそらくピアノを自由に弾くことそのもののみならず,聴いてくださる患者さんからの感謝の言葉が逆に,体内の複雑なメカニズム(膠原病は免疫異常疾患。自分の身体を異物と捉えて攻撃する,とでも言ったらよいのだろうか?)を正常に保つ助けになったに違いない。

いつもレストランで弾いていることは,どの科の医師たちも承知の上であり,待合室で呼ばれて居なければ「レストランにいる筈」と電話がかかるほどだった。

ある日,今後の話をK教授と交わしていた時に,そろそろ復帰の演奏会をしたい,出来れば色々な患者さんと知り合ったこの病院で,と話したところ「それは良いじゃぁないの,早速実行に移しましょう」と仰り,すぐさま事務長にその場で電話をしてくださった。
その日のうちに事務長とお会いし,トントン拍子に話が進んだ。
11年11月11日に退院し,12年12月12日に50歳を迎える。数にこだわる訳でも験担ぎでもないが不思議な数字かもしれない。
出会った患者さん方や,常に励ましてくださった友人たち(快気祝いもしなかった)に元気になった報告も兼ねて,食事をしながら聴いて頂けたら…という発想だった。病院だから,ひょっとするとお世話になった先生方にも聴いて頂けるかも知れない,と。
感謝の気持ちからチャリティーにて。

何日か後になり(おそらく会議の結果),グランドピアノも1階のロビーも使えない,とのこと。
それならば,いつもピアノを弾かせて頂いているレストランにグランドピアノを運び入れて行うことは不可能だろうか?ということになった。
レストランのマネージャ浜宇津氏も援護射撃を惜しまず,寧ろ積極的に私の支援をしてくださった。
そしてその事をベーゼンドルファー社に話したところ,無料で貸してくださる,と決まった(日頃から演奏会では,調律費と運送費以外は無料で貸し出してくださっていた)。
これはまだ10月の話。

夏前から少しずつ進んでいたCD化への編集(1998年,多発性筋炎や乳癌に気付かずに企画したリサイタルのライヴ録音),ライナーノートも11月初めに皮膚科の塩原教授に文章を頂けることになった。CDジャケットの表紙は,生憎私はまだムーンフェイスや皮膚筋炎の紅斑が治っていない為に写真は載せられず,私が5歳の頃に父(奥龍之介)が描いてくれた絵を使う事になった。

そしていっそのこと,そのレストランでの復帰リサイタルにそのCDを発売開始としたら良いのではないか,と色々な事が一度にどんどん進んだ。

曲目は,いつもリクエスト頂いている作品をメインに。
トークを入れながら。…これは病気の事後報告も兼ねてであった。

演奏を通じて知り合った患者さんはそれぞれ色々な問題を抱えていらしたが,中でも,肺癌が脳に転移した,という患者さんからは逆に励まされること屡々だった。長くない事もご家族やお姉様は勿論のこと,ご本人もよく理解しておられ,それでも「自分は病気にはなってしまったけれど,病人には決してならない」と,一人で病院を散策されていた。レストランもそのひとつだった。かつてシャンソンを弾き語りされていた,とのことで音楽には厳しい耳を持っていらした。ご家族やお姉様とも,よく食事をご一緒させて頂いた。
その方が,年内持つか持たないか,という状況に陥られた。
何とか演奏会を聴いて頂きたい,と念じた。
当日は車椅子で,お姉様やご家族と一緒に聴いて頂けたことが何より嬉しかった。
(先に載せた動画には,2008年現在既に先に天国に行かれてしまった方々が,数えれば5本の指では足りない。病院とはそういう場所だ、と医師達は言われる)

演奏会はもとより,夜にはBGMを弾き,沢山の恩師や友人達とも久々に会えた。
病院の先生方も聴いてくださった。
至福の時だった。

いらしてくださった方々はもとより,許可を下さった病院の関係者の皆々様には,お礼の言葉も見つからぬほど感謝しております。



この後も,アップライトのピアノがレストランを去るまで弾かせて頂き,更に多くの患者さん方と知り合い,親しくお付き合いさせて頂き,貴重な時を過ごさせて頂いた。


前述のCDはこの日に間に合い,多くの方々がご購入くださった。

ジャケットの元になった絵。(幼稚園の頃,モーツァルトのKV.545のソナタを練習していた傍で父が描いていたのを覚えている。)


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父はどんな思いで私を写生していたのか,5歳当時は全く考えることもなく。
私が二人の子供の母になった時,あぁ,絵が描けたらなぁ…と思ったものだった。





義父の事に触れる。
11月3日に義父(田中春弥)が,日展の打ち合わせの折に動けなくなり,救急救命センターのお世話になった。80代半ばながら忙しく仕事を次々控えていた。
診断は,徐脈(35以下)により血流が脳に行かない小失神発作とのこと。
房室ブロック※で,今後はペースメーカーを絶対に入れなくてはならない部類,という。
迷う選択肢も無く,私が通院及び入院に付き添うことになった。
11月6日 薬を使っても房室ブロックは続き,脈拍は44。12月まで大丈夫,という保障も無いそうだ。11月27日に外来の最終チェックをし,12月4日に入院し,5日にペースメーカーを入れる手術,と決まった。
※ 病名で,心房から心室への電気の通り道が駄目になり,P波(小さい波)が沢山ある。洞結節から「速く動け」と指令が出ても心房の動きの間隔は一定のリズムで,心室の波が付いて行けない。心房と心室の動きを整える力が無い。(等々,医師の話を4ページにわたりメモしてあるが,兎も角ペースメーカー以外に治す手段は無い,ということだった。)
手術は勿論,術後の経過も甚だ良く,12日には退院しても構わない状態になっていたが,私の企画に合わせて退院を延期し,一緒に聴いていてくれた。




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12.12.12.(2) - 2000.12.12 Tue

画像の続きをアップしてみます。
(ボツボツ途切れる場合はお知らせください)


シューベルト:即興曲Op.142/2冒頭

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シューベルト:即興曲Op.142/2続き

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シューベルト:即興曲Op.142/2続き

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ショパン:バラード第3番 途中から

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ショパン:英雄ポロネーズ 中間部辺り

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シューマン:トロイメライ(「子供の情景」より)

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12.12.12.(1) - 2000.12.12 Tue

急に日が飛びますが…(又改めて間のことは書き,編集するつもりです)

病院のレストランを通じて知り合った方々,しかも私よりも余程酷い状態の方々より勇気づけられることの多さ!
「自分は病気になったけれど,病人には決してならない!」と,車椅子で院内を飄々と散策したり,レストランにいらしては私にリクエストを下さったり,身内の方々と楽しそうに過ごしておられたOさん,私もその輪に加えて頂き,どれだけ有意義な時を過ごさせて頂いたか・・・

又,ここまで私の回復に導いて下さった諸先生への感謝。

半世紀を生かせて頂いた感謝を込めて,私の誕生日にレストランで演奏会を開くことにしました。詳しい経緯は又改めて書きます。
ベーゼンドルファーのピアノを借り入れました(いつもはアップライトを弾いており,この日くらいは!と)。

プログラムは↓
19962582_3538426344.jpg  ぽちっと…

午後3時半,大きな窓の外がまだ輝いていた時刻から始め,演奏とトーク半々にて,途中から夜景の輝きとなって行きました。

当日になって,生徒たちに誰かヴィデオで撮って欲しい,と連絡を回したところ,初めて使うヴィデオカメラをマニュアル片手に男性群が撮ってくれた,という,我が儘教師に親切な生徒たち……
受付その他係も,生徒たちが分担して行ってくれました。感謝!!!


(動画がボツボツ途切れる場合はお知らせください)


ショパン:ノクターン変ホ長調 Op.9/2

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ショパン:ワルツ嬰ハ短調 Op.64/2

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リスト:愛の夢 第3番より 冒頭~

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ショパン:スケルツォ 第2番 Op.31より 途中より

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シューベルト:「音楽に寄せて」奥千絵子編曲 最終部分


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シューベルト:即興曲 Op.90/2 冒頭~

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プロフィール

奥 千絵子

Author:奥 千絵子
★上の画像は2001年にCDにして約3枚分を収録したものを,2006年に2枚組としてリリースしたCD「樂の音に寄せて」です.『レコード芸術』2007年1月号で「特選盤」として取り上げられました.戸倉新樹教授によるライナーノートは医学生にもお薦めです.その他のCDや著書はWebsite「本館」からお入りください.このブログも「本館」のDIARYです.
★このブログの"Grüß Gott !" (文字化けの場合はGruess Gott!)は墺・南独の時間を問わない挨拶です.Website「本館」のDIARYです.出版CDや著書の詳細は「本館」のメニューからお入りください.
Website「別館」もあります. 著書「ピアノと向きあう」の説明を補うサイトです.よく頂く質問に説明を記載しています.
★上記著書については今井顕 氏によるKINOKUNIYA書評空間WEBLOG を是非ご一読くださいませ.
Auch auf Deutsch schrieb ich…
★【膠原病の記録】余りに医療のカテゴリーがが増えてしまったので目下整理中です.大変複雑な病気の経験が同じ病の方々への参考となりましたら幸いです.
「乳癌と膠原病(皮膚筋炎・多発性筋炎)」「膠原病(退院後)」 ,その他の医療の話(自分以外も含めて)は「医療・病院関係」,に取り敢えず分けました.
平成12.12.12.病院での復帰リサイタルは演奏動画入り記録です。
★恩師のことは55年間を遡り少しずつ記載するつもりです。目下のところはこれだけです.
★コメントも大歓迎です。SPAM防止上、確認後に公開しております。ご理解をお願い致します.
★このブログや大元のサイトへの感想やお問い合わせはservus2008@gmail.com宛に@を半角に直して送信願います.
【BGM】
Robert Stolzメドレー
演奏:東京カンマーコレーゲン 
室内楽アレンジ:奥 千絵子
ショパン:華麗なる大円舞曲Op.18
演奏:奥千絵子 ショパンのワルツは上の画像の2枚組CD「樂の音に寄せて」に入っております.
★Copyrights©1997-2020 Chieko Oku All rights reserved.
制作・著作:奥千絵子
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